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#1 //20 June 2017//
Ville de Calais -Henk Wildschut

 

 

 

#1『Ville de Calais - 難民の移動、定住、そして、移送』
トークイベント/オランダ人写真家ヘンク・ヴィルスフートが見つめたフランスの町、カレー



【日時】2017年6月20日 19:00-21:00
【場所】 立命館大学・大阪いばらきキャンパス/B275/276教室(B棟2階)
【入場料】無料/予約不要
【問い合わせ】電話 08031255346(小原) メール kazuma924(at)gmail.com



6月20日、「世界難民の日」に遠い存在、難民の問題について考える。

ドーバー海峡をイギリスと最短距離で結ぶ都市、フランス、カレー。歴史的に英仏の貿易航路として重要な役割を担ってきたカレーの森林地帯は、現在、貨物船に紛れてイギリスへの渡航を目指す、多くの難民/違法移民の係留地となっている。
2014年以降、中東、アフリカからの多くの移住民はその違法コミュニティーを肥大化された。その場所はいつからかThe Jungleと地元民から呼ばれようになる。そして、人口が増大したThe Jungleは食品店や食堂、理髪店等からなるコミュニティーへと徐々に姿を変容させていく。

2005年から同地域で撮影を行っていたオランダ人写真家、ヘンク・ヴィルスフートは2015年以降のThe Jungleを2年間に渡り定点観測的に記録し、2017年、写真集『Ville de Calais(カレーの町)』として上梓した。

彼の記録は難民たちの定住から、コミニュニーティーの発展、そして、イギリス/フランス政府の介入、居住地域の解体、難民たちの移送という難民を巡る一つの「町」の様相を伝えていく。彼のプロジェクトを成す写真の数々にはそこで行われた難民/移民と警察官との暴動の様子、また建物が無惨に取り壊されていくような、ドラマチックな写真は存在しない。建築写真のように美しくその外観を客観的に捉えた写真たちは、淡々とその町の変容を伝えていく。その様子は、政府がある種の冷淡さ、機械的にある場所の痕跡を消し去っていく無情さを伝えるかのようだ。一方、定点観測とともに添えられる数多くの住民のポートレートとインタビュー、ユーモアに溢れる彼らの生活様式を伝えるキャプションが、その町の生活に立体感を与え、冷酷に消し去られていく風景の重みを見るものに伝えていく。

僕はヴィルスフートが記録した失われた「町」の様子を見て、遠く1万キロ離れたアフリカ、中東難民の生活に想いを馳せる。そして、同時に日本に居住する難民の生活に想いを巡らす。年間100人規模の難民しか受け入れていない私たちの日本社会には、無いものとされているかのように存在の見えない難民の人々。

6月20日、「世界難民の日」に多くの日本人から遠い存在、難民の問題について考える。

モデレーター 小原一真(写真家)


【ヘンク・ヴィルスフート・経歴】
ヘンク・ヴィルスフート(Henk Wildschut)。1967年オランダ・ハルデルウェイク生まれ。ハーグ王立芸術アカデミーで学ぶ。アムステルダム、シドニー、上海、北京、ロンドン、プラハ、ローマ、ハーグ他、世界各地で展覧会を開催。多くの長期的な自主プロジェクトに加えて、多数のオランダ語雑誌やデザイン・通信事業の代理店向けの撮影も行う。港湾労働者、非合法移民、ランナーなどを対象としたシリーズ作品を手がけるとともに、ヘルト・ウィルダースやペーター・バルケネンデなど、多くの著名なオランダ政治家の肖像を撮影してきた。 ヴィルスフートの作品の特徴は、撮影対象となる人々や場所に対する客観的で、しばしば距離を保った視点にある。こうした視点は、彼の写真に均衡と記念碑的な性質を付与し、撮影対象についての更なる思考へと観る者を駆り立てる。同僚の写真家レイモンド・ヴァウダと共に、ヴィルスフートは2冊の写真集を出版して高評価を受けた。2003年刊行の『サンドリアン・ラパス』(Sandrien LaPaz)で、ヴァウダとヴィルスフートは、オランダ当局によってアムステルダム港に1年半以上留置されていた化学製品タンカー「サンドリアン・ラ・パス」のインド人乗組員を撮影した。また、2006年に出版されたプロジェクト『アダム・ドック』(A'DAM DOC.k)では、アムステルダム市公文書館の委嘱を受けて、ヴァウダとヴィルスフートはアムステルダムの港湾地区を写真で記録した。彼らの撮影は海岸沿いを進んでアムステルダム西部の造船工場地区に至る北海運河のルートを辿った。 ヴィルスフートがシェルター・シリーズを開始したのは2005年である。2010年、同シリーズは書籍『シェルター』(Shelter)と映像作品「4分57秒の帰郷」('4.57 Minutes Back Home')に結実した。2011年、『シェルター』は2009/2010年のオランダ最優秀写真集として、キース・シェーラー賞を受賞した。同年、ヴィルスフートは『シェルター』によって、権威あるダッチ・ドック賞のドキュメンタリー・プロジェクト部門でも最優秀賞を受賞している。また、ヴィルスフートはアムステルダム国立美術館の制作依頼で、食糧をテーマとした仕事も手がけてきた。2年の制作期間を経て、その成果は書籍『フード』(Food)と国立美術館での展覧会というかたちで発表された。そして現在、ヴィルスフートはかつてのテーマ、すなわち移民と難民という主題に立ち戻っている。昨年、彼はフランス北部カレーで難民キャンプの様子を追い続けた。この仕事は2016年4月、アムステルダムのFOAM写真美術館で開催された大規模展「ジャングルから都市へ」('From Jungle to City')として実を結んだ。さらに2017年、カレーでのプロジェクトは写真集『カレーの町』(Ville de Calais)として出版されることになった。 http://www.henkwildschut.com/


【小原一真(おばらかずま)】 写真家。1985年、岩手県に生まれる。社会の見えざる人々に焦点を当て、核に関する長期プロジェクトに取り組む。主に欧米メディア、写真フェスティバルでの発表を行う。世界報道写真賞受賞、書籍は米TIME誌が選出する優れた写真集に選ばれる等、国際的に高い評価を受ける。 http://kazumaobara.com/


主催 Photobook Osaka /  難民表象をめぐる研究会 協力 立命館大学政策科学部牧田義也ゼミ